こっぺとコルネ

・イチオシメニュー

岐阜市中鶉、住宅と店舗が混在する落ち着いたエリアに店を構える「こっぺとコルネ」。アーバンクレストの1階にあるその店は、派手な装飾こそないものの、ガラス越しに並ぶパンの姿が自然と足を止めさせる。朝の静かな時間帯から、どこか慌ただしさを感じさせる昼時まで、日常に寄り添う存在としてこの街に溶け込んでいる。

・こだわり

店主はこれまでに、デザート専門店や和菓子屋で経験を積んできた人物。洋と和、双方の甘味と向き合ってきた背景が、この店のパン作りに確かな輪郭を与えている。「パン屋というより、おやつ屋に近い感覚かもしれません」と語る言葉どおり、ここで提供されるのは“甘さの設計”が行き届いたパンだ。

看板のコッペパンは、手に取った瞬間にその柔らかさが伝わってくる。口に含むと、ふわっとほどけるような軽さ。それでいて水分量が高く、時間が経ってもパサつきにくいのが特徴だ。和菓子作りで培った生地の扱いと、デザート店で磨いた口溶けへの感覚が、絶妙なバランスを生んでいる。具材は甘いものから食事系まで幅広いが、どれも生地を主役に据えた構成だ。

一方のコルネは、コッペパンとは対照的な存在。表面は驚くほどサクサクとした食感で、噛むたびに心地よい音を立てる。中に詰められたクリームは甘さを抑え、軽やかな後味に仕上げられている。和菓子の“引き算の美学”を感じさせる仕上がりで、最後まで飽きずに食べ進められる。

この店が明確に意識しているのが、「営業周りをしている人たちに使ってほしい」という視点だ。車で移動し、短い合間に食事や甘いものを口にする。そんな日常の中で、重すぎず、気分転換になる存在でありたいという。片手で食べやすく、車内でも扱いやすいサイズ感や包装にも、その配慮が表れている。

流行を追いかけるのではなく、誰かの一日の途中にそっと寄り添うパン。「こっぺとコルネ」は、確かな技術と経験を土台に、日常使いの価値を丁寧に磨き続けている店だ。ふとした合間に立ち寄ることで、その良さがじわりと伝わってくる。

・ 店舗情報詳細