中華料理 おぎわら

・イチオシメニュー

柏駅東口からほど近く、雑居ビルの2階に店を構える「中華料理おぎわら」。看板には“中華料理”と掲げられているものの、その一言ではとても語り尽くせない奥行きが、この店にはある。階段を上り扉を開けると、肩肘張らずに過ごせる落ち着いた空間。静かな熱を帯びた厨房から、ここでしか味わえない料理が生み出されている。

・こだわり

店主・荻原氏が何より大切にしているのが“地産地消”だ。千葉県産の野菜を中心に、その時期に一番状態の良い食材を選び抜く。農家の顔が見える食材を使うことで、「素材の背景ごと料理として伝えたい」と語る。その考えは仕入れだけに留まらず、調理法や味付けにも反映されている。

この店の大きな特徴の一つが、ジビエ料理を積極的に取り入れている点だ。鹿や猪といった食材は、扱いを誤ればクセが強くなりがちだが、ここでは驚くほど滋味深く、洗練された一皿として提供される。血抜きや熟成の状態を見極め、中華の技法だけでなく、和や洋のエッセンスも柔軟に取り入れながら仕上げていく。「ジビエだから特別なのではなく、いい素材だから使うんです」という言葉が印象的だ。

“中華料理”という枠に縛られない姿勢も、この店の核となっている。香辛料の使い方や火入れには確かに中華の土台があるが、ソースの組み立てや盛り付けにはジャンルの垣根を越えた発想が見える。店主自身、「ジャンル名よりも、おいしいかどうかがすべて」と語り、その日の食材やインスピレーションによって、自然と料理の形が決まっていくという。

それでいて、どの皿にも一貫して感じられるのは“食べ手への優しさ”だ。強すぎない味付け、余韻を残す香り、食後に重さを残さない構成。華やかさを狙うのではなく、最後まで心地よく食べてもらうことを最優先にしている。

柏という街に根を下ろしながら、土地の恵みと向き合い、自分の料理を更新し続ける「中華料理おぎわら」。ここでは、中華というジャンルを入り口に、料理そのものの自由さと奥深さを体感できる。静かに、しかし確かな個性を放つ一軒として、記憶に残る店だ。

・ 店舗情報詳細