320滿O

・イチオシメニュー

岐阜県美濃加茂市本郷町。住宅街の一角に、時間がゆっくりと流れる場所がある。それが、古民家を改装した日本食の店「320滿O（みつまる）」だ。暖簾をくぐった瞬間、外の喧騒がすっと遠のき、木の香りと静けさに包まれる。ここは“食べる”だけでなく、“日本を味わう”ための空間だ。

・こだわり

320滿Oの料理は、すべてが手作り。既製品に頼ることなく、一つひとつの工程を自分たちの手で積み重ねている。使用する食材は国産を基本とし、無添加であることを強く意識。「体に入るものだから、ちゃんと分かるものを使いたい」という考えが、仕込みの隅々にまで行き届いている。

出汁は丁寧に引き、調味料も必要以上に使わない。素材そのものの味を引き出すことで、派手さはなくとも、食べ進めるほどに深みを感じる料理に仕上がっている。濃さで印象を残すのではなく、余韻で記憶に残る味わいだ。

料理をいただく空間にも、この店の哲学が表れている。古民家ならではの梁や柱を活かした店内は、どこか懐かしく、落ち着いた雰囲気。椅子や器も主張しすぎず、料理と同じく“日本らしさ”を自然に感じさせる存在として置かれている。ここでは、空間そのものが料理の一部だ。

店主が大切にしているのは、「日本の食文化を、肩肘張らずに感じてほしい」という想いだ。難しい説明や特別な作法は必要ない。ただ、旬を感じ、手作りの温度を感じながら、ゆっくりと食事を楽しんでほしい。その姿勢が、店全体の空気をやわらかくしている。

320滿Oは、流行を追いかける店ではない。日本の食、日本の家、日本の時間。その本質を、丁寧に積み重ねている場所だ。ここで過ごすひとときは、日常の中で忘れがちな“ちゃんと味わうこと”を、静かに思い出させてくれる。美濃加茂の地で、日本を味わう――そんな体験ができる一軒である。

・ 店舗情報詳細