・イチオシメニュー





千葉県船橋市本町。駅前の賑わいから少し離れたビルの一室に店を構える「casa dell orso(カーサ デル オルソ)」。エレベーターを降り、扉を開けた瞬間に広がるのは、街中にいることを忘れさせる落ち着いた空間だ。店名にある“orso(熊)”が象徴するように、どこか温かく、包み込まれるような雰囲気が店内を満たしている。
・こだわり
店名の由来は、「冬眠する熊の家には、たくさんの食料が蓄えられている」というイメージから。そんな熊の住処のように、良い食材が自然と集まる場所でありたいという思いを込めて、この名が付けられたという。その背景を知ると、casa dell orsoが食材選びを大切にしている理由にも、深くうなずける。
「肩の力を抜いて、家に帰ってきたように過ごしてほしいんです」。シェフのこの言葉どおり、ここで大切にされているのは“日常に寄り添う特別さ”。華美な演出や過剰なサービスではなく、料理と会話に自然と集中できる空間づくりを何よりも重視している。
料理の軸となるのは、素材の良さを正直に伝えること。産地やブランドを誇張するのではなく、その時々で状態の良い食材を選び、無理のない調理で提供する。「手をかけすぎないからこそ、素材の声が聞こえる」と語るシェフの姿勢は、料理の味わいに素直さと安心感をもたらしている。
数あるメニューの中でも印象的なのが、生雲丹のクリームパスタだ。使用している雲丹は、都内の寿司店でも使われている良質なもの。雲丹特有の甘みと旨味を活かしながら、クリームと合わせることで、濃厚でありながらも品のある味わいに仕上げられている。素材の力を信じる、この店らしさがよく表れた一皿だ。
メニュー構成は、初めて訪れる人にも分かりやすく、それでいて常連を飽きさせない内容。季節感を大切にしながらも、「いつ来ても、ここらしい」と感じられるラインを意識しているという。そのバランス感覚が、幅広い客層から支持される理由のひとつだろう。
サービスで心がけているのは、「距離を詰めすぎないこと」。必要な時にはさっと手を差し伸べ、そうでない時はそっと見守る。その程よい距離感が、店全体の居心地の良さにつながっている。
「特別な日に来てもらえるのも嬉しいけれど、何でもない日にふと思い出してもらえる店でありたい」。取材の最後に聞いたこの言葉が、casa dell orsoの本質をよく表している。良い食材が集まり、人が自然と集う“熊の家”。船橋という街に根を張りながら、日常の延長線上にある、少し豊かな時間を提供し続けている一軒だ。
・ 店舗情報詳細
casa dell orso
047-455-3360
千葉県船橋市本町4-41-10 サドヤアップコート202
11:30-14:00
17:30-22:00
日・祝

