お好み焼き ごたごた

・イチオシメニュー

京都市東山区、福稲御所ノ内町の住宅街に店を構える「お好み焼き ごたごた」。観光地の喧騒から少し離れたこの場所で、地元客に長く愛されている理由は、扉を開けた瞬間に伝わってくる。鉄板の熱気と香ばしい匂い、そしてどこか人懐っこい空気感。初めてでも、自然と肩の力が抜ける店だ。

・こだわり

ごたごたの料理の核にあるのは、何よりも“出汁”。「粉も大事やけど、うちはまず出汁」と店主は語る。昆布や節を使い、丁寧に引かれた出汁は、主張しすぎることなく、それでいて確かな存在感を放つ。この出汁があるからこそ、ソースに頼りきらない味わいが生まれる。

看板のお好み焼きは、外はカリッと香ばしく、中は驚くほどフワフワ。鉄板の温度管理と、生地の混ぜ方に長年の経験が詰まっている。焼き上がるまでの時間、ヘラで触る音ひとつにも無駄がなく、仕上げに入ると一気に完成形へと近づいていく。口に運べば、出汁の旨みがふわっと広がり、生地の軽さに思わず箸が進む。

もんじゃ焼きも、この店の実力を感じさせる一品だ。出汁の風味がダイレクトに伝わる分、素材のバランスが重要になるが、ここでは最後の一口まで味がブレない。鉄板に広がる香りと、少しずつ削ぎながら食べ進める楽しさが重なり、自然と会話も弾む。

焼きそばは、しっかりとしたコクがありながら重さを感じさせない仕上がり。麺の焼き加減は絶妙で、表面はパリッと、中はもちっとした食感を保つ。ここでもやはり、出汁の下支えが効いており、ソースの強さに負けない奥行きがある。

ごたごたという店名の通り、肩肘張らず、わいわいと楽しむのが似合う店だ。しかし料理は驚くほど真面目で、一枚一枚にきちんと理由がある。

出汁を軸に、外はカリッと、中はフワッと。王道でありながら、確かな違いを感じさせる「お好み焼き ごたごた」。京都の日常に根を張り、今日も鉄板の前で変わらぬ一枚を焼き続けている。

・ 店舗情報詳細