ヴィオレット・ステラ

・イチオシメニュー

滋賀県栗東市・中沢。静かな住宅街の中に、まるで小さな星が灯っているかのように佇む店がある──「ヴィオレット・ステラ」。扉を開けば、ふわりと野菜の香りとやわらかな光が迎えてくれる。ここで提供されているのは、自家菜園と地元の契約農家が心を込めて育てた季節野菜を中心に仕立てる、身体に優しいフランス料理だ。

・こだわり

店名の“violette stella（ヴィオレット・ステラ）”は、スミレの花の一種を意味する。スミレの花言葉は“ささやかな幸せ”。「大切な人とおいしいものを食べる幸せを、訪れてくださる皆様に感じていただける場所でありたい」。そんな願いを込めて、店主はこの名を選んだという。華やかすぎず、かといって素朴すぎない。ちょうどスミレのように、静かで優しく、しかし確かな存在感をもつ店だ。

ヴィオレット・ステラのこだわりは、まず“野菜”にある。店の畑でその日の朝に収穫したもの、あるいは長年信頼を寄せる農家が届けてくれる旬の野菜。それらをいかにストレートに、いかに美味しく伝えられるか──そこに全力を注ぐ。店主は「野菜は生き物なので、日によって水分量も甘みも違う。だから仕込みも火入れも毎日調整が必要」と語る。その日野菜が持つ一番の姿を皿の上に引き出すことが、料理人としての使命だと考えている。

ランチは、特にその“野菜のおいしさ”が際立つ時間帯。彩り豊かな前菜は、思わず写真を撮りたくなる美しさがありながら、一口ごとに味わいが変わる。プレートの中心にあるのは、素材そのままの滋味を大切にした一皿。その日の畑の状態が、そのままメニューになると言っても過言ではない。

そして、ディナーでさらに店の世界観が深まる。静かで温かい照明の中、コース仕立てでゆっくりと流れる時間。野菜はもちろん、滋賀の食材をフレンチの技法で丁寧に重ねていく。派手な演出ではなく、素材の“よさ”がじんわり心に残るような味わい。食べ終えたとき、体の奥まで満たされる感覚がある。

料理の締めくくりを飾るスイーツも、忘れてはならない。季節の果物を主役にした軽やかなデザートは、全体の流れを壊すことなく、最後にそっと幸福感を添える。“ささやかな幸せ”という店名の意味が、その一口にすっと落ちてくる。

「大切な人と食事をする時間は、人生の中でもっとも尊いものだと思うんです。ここが、その時間をより豊かにできる場所でありたい」──店主のその言葉通り、ヴィオレット・ステラは料理だけでなく、空間、会話、香り、すべてが“優しい幸福”へと導いてくれる。

栗東の街に静かに輝く、小さな星。
今日もまた、訪れた人の心にそっと“ささやかな幸せ”を灯し続けている。

・ 店舗情報詳細