・イチオシメニュー

北海道札幌市白石区。住宅街の一角に佇む「蕎麦処 優作」は、地元客から観光客まで多くの蕎麦通を魅了してやまない名店だ。外観は控えめながらも、木のぬくもりを感じる引き戸を開けた瞬間、ふわりと香ばしい蕎麦の香りが鼻をくすぐる。その香りこそが、店主のこだわりの証でもある。
・こだわり
看板メニューは、贅沢な一品「天とろそば」。サクサクの天ぷらと、なめらかなとろろ、そして香り高い手打ち蕎麦の三重奏が、訪れる人の舌を虜にする。見た目の華やかさはもちろん、ひと口すするごとに感じる蕎麦本来の香りと食感が、この店がただの“町の蕎麦屋”ではないことを物語っている。
店主が蕎麦づくりで最も大切にしているのは、「手打ちであること」。すべての蕎麦を自らの手で打つことで、粉の状態や水分量、気温による微妙な変化を感じ取り、その日の最良の仕上がりを目指す。使用するそば粉は、北海道産の厳選されたもの。新そばの季節には、石臼で自家製粉したそば粉を使うこともあるという。
「粉は生き物。毎日、同じように打っても同じ味にはならない。だからこそ面白い」と店主は笑う。その言葉には、素材と真摯に向き合い続ける職人の矜持がにじむ。
打ち立ての蕎麦は、しなやかでありながら、噛むとしっかりとした弾力がある。つゆは、北海道産の昆布と鰹節を丁寧に煮出し、旨みを引き出した上品な味わい。濃すぎず薄すぎず、蕎麦の香りを引き立てるように設計されている。その計算されたバランスこそ、優作の味の根幹だ。
そして「天とろそば」を支えるもうひとつの主役が、天ぷら。海老や旬の野菜を中心に、素材の持ち味を活かすよう軽やかに揚げられている。衣は驚くほど薄く、サクッとした食感のあとに、素材の甘みがふわりと広がる。揚げ油には、風味がまろやかで軽い胡麻油をブレンドし、食後も重たくならないよう工夫されている。そこに、なめらかなとろろが絡むことで、口の中に豊かな余韻が残る。
「蕎麦は派手じゃなくていい。ただ、食べた瞬間に“うまい”と思ってもらえればそれでいい」。
そう語る店主の言葉には、飾らない真摯な想いが込められている。
手打ちの蕎麦、揚げたての天ぷら、そして心を込めたもてなし。
蕎麦処 優作は、日常の中にある“小さな贅沢”を教えてくれる一軒だ。
蕎麦処 優作
090-9291-7582
北海道札幌市白石区川下五条3-1-25 吉兆ビルA 1F
月曜〜水曜 11:00〜15:00
金曜、土曜 11:00〜15:00
17:30〜21:00
日曜 11:00〜17:30
木

