・イチオシメニュー

京都・右京区常盤。嵐電の線路沿いにある静かな住宅街の一角に、ひっそりと暖簾を掲げる一軒の居酒屋がある。その名は「向日葵(ひまわり)」。木の温もりを感じる外観と、どこか懐かしい雰囲気に包まれた店内。足を踏み入れた瞬間、炭火の香ばしい香りと、出汁のやさしい匂いがふわりと漂ってくる。
・こだわり
地元の人々に愛され続けるこの店のこだわりは、「素材の良さをそのまま味わってもらうこと」にある。特におすすめは、新鮮な刺身と、丁寧に下処理を施したホルモン料理だ。
刺身に使う魚は、毎朝市場に足を運び、信頼できる業者から厳選して仕入れている。季節ごとに異なる旬の魚を揃え、その日の状態に合わせて最適な切り方や盛り付けを心がける。脂の乗り、身の締まり、包丁の入れ方――どれを取っても、職人としての誇りと技が感じられる一皿だ。「刺身は鮮度が命。だからこそ、仕入れには妥協できない」と店主は語る。
一方、もう一つの看板メニューであるホルモンは、鮮度はもちろん、下ごしらえにも徹底したこだわりがある。部位ごとに臭みを取り除き、丁寧に余分な脂を落とす。そのうえで特製のタレや塩で味を整え、炭火でじっくりと焼き上げる。口に運べば、香ばしい香りと濃厚な旨みが広がり、噛むほどに素材の味が引き立つ。「ホルモンは手間をかけた分だけ味が深くなる。そこを感じてほしいですね」と笑う店主の顔は誇らしげだ。
料理に使う調味料や野菜も、できる限り地元・京都の食材を中心に選んでいる。特に京野菜との相性は抜群で、さっぱりとした味わいの刺身やこってりとしたホルモン料理に、程よい彩りと香りを添えてくれる。
カウンター越しには、常連客との軽妙なやり取りが絶えない。まるで昔からの友人のように温かく迎えてくれるその雰囲気も、「向日葵」が愛される理由のひとつだ。店主の人柄がにじむ接客と、真摯な料理の姿勢が、この店の居心地の良さを作り出している。
「気取らず、うまいもんを腹いっぱい食べて、笑って帰ってもらえたらそれでいいんです」と語る店主。その言葉の通り、向日葵には、派手さはないが、確かな“京都の粋”が息づいている。
刺身で季節を感じ、ホルモンで力をもらう。
一度訪れれば、きっとまた暖簾をくぐりたくなる――。
・ 店舗情報詳細
向日葵
075-334-5560
京都府京都市右京区常盤馬塚町10ー12
火・水・木・金・土・日・祝日・祝前日・祝後日
18:00 – 00:00
月
