くせつよレイズ

・イチオシメニュー

札幌市豊平区、月寒中央通に面した「くせつよレイズ」。ピオネロ月寒の1階にあるこの店は、通りを行き交う人の流れとは対照的に、どこか“ほっとする時間”が流れている。扉を開けた瞬間に感じるのは、肩の力が自然と抜けるような、あたたかい雰囲気。初めて訪れたはずなのに、不思議と馴染みの店に来たような安心感がある。

・こだわり

この店の根底にあるのは、「食生活を整えるきっかけになってほしい」という明確な想いだ。外食が続き、栄養が偏りがちな現代人に向けて、体に負担をかけない料理を日常的に提供したい。その考えから、油や調味料の使い方は必要最小限に抑え、素材そのものの味を大切にしている。いわゆる“健康食”を前面に押し出すのではなく、「ちゃんとおいしくて、結果的に体にいい」。その距離感が心地いい。

特筆すべきは、米へのこだわりだ。くせつよレイズでは、毎日その日に使う分だけを精米。炊き上がったごはんは、粒立ちが良く、噛むほどに自然な甘みが広がる。派手な主菜がなくとも、ごはんそのものが満足感を底上げしてくれる。「主役は特別な料理じゃなく、毎日の食事です」という言葉が、そのまま茶碗の中に表れている。

おすすめは、迷わず日替わり定食。旬の食材を中心に、主菜、副菜、汁物までバランスよく構成され、その日の体調にすっと寄り添う内容だ。肉や魚も使うが、重さは感じさせず、食後には不思議と体が軽い。偏った食生活をリセットする“きっかけの一食”として、これほど適した定食はなかなかない。

店内では、店主と客との距離も近い。食材の話、体調の話、何気ない日常の会話。そうしたやり取りが、この店のあたたかさを形作っている。「健康のために」ではなく、「ちゃんと食べてほしいから」。その姿勢が、押しつけがましさのない料理と空間につながっている。

くせはあるけれど、どこか優しい。店名の通りの個性を持ちながら、「また来たい」と思わせる理由がしっかりとある。「くせつよレイズ」は、忙しい日々の中で、食と体を見つめ直すための、静かな拠点のような存在だ。

・ 店舗情報詳細