・イチオシメニュー


三重県南部、熊野灘に面した港町・錦。潮の香りが漂う路地を進んだ先に、地元の人に長く親しまれてきた食事処「かもめ」はある。派手な看板はないが、昼時になると自然と人が集まる。ここには、観光客向けではない“港町の日常の味”が息づいている。
・こだわり
「かもめ」のこだわりの軸は、何よりも鮮度だ。店主が毎朝のように目を配るのは、目の前の海から揚がる魚の状態。その日水揚げされた魚を中心に仕入れ、無理にメニューを固定しない。「いい魚がある日が、いい営業日」。そんな考え方が、この店の姿勢を物語っている。
料理は、素材の良さを引き出すシンプルなものが多い。刺身は余計な手を加えず、切り方と厚みに気を配る。噛んだ瞬間に広がる旨みと、ほどよい歯ごたえは、鮮度への自信の表れだ。焼き魚や煮付けも、味付けは控えめ。魚本来の甘みや脂を感じてもらうため、出汁や醤油の使い方には細心の注意を払っているという。
もう一つの特徴は、地元目線の価格設定だ。港町の食堂として、日常使いできることを大切にしている。「特別な日だけじゃなく、今日は魚を食べたいな、と思った時に来てもらえる店でありたい」。その言葉通り、ボリュームと価格のバランスは良心的で、常連客の多さが信頼の証になっている。
店内は飾り気がなく、どこか落ち着く空気感。窓から差し込む光と、ゆったり流れる時間が、食事をより味わい深いものにしてくれる。観光地特有の慌ただしさはなく、ここでは“食べること”そのものに集中できる。
「かもめ」は、海とともに生きる町の延長線上にある店だ。旬を大切にし、無理をせず、正直な料理を出す。その積み重ねが、地元の人にも旅人にも愛される理由なのだろう。錦の海を感じながら一皿一皿に向き合う時間は、この町を知るための、何よりの入り口になる。
・ 店舗情報詳細
かもめ
0598-73-2336
三重県度会郡大紀町錦915-3
9:00-16:00
日

