楓林

・イチオシメニュー

伊勢市一之木。その通りを歩いていると、ふと耳に届く軽やかなギターの音色と、温かなライトに照らされた入口が目に留まる。ここが、地元で密かに愛されるライブハウス＆バー「楓林（ふうりん）」だ。

・こだわり

「ここは、音楽と人が自然に寄り添える場所にしたいんです」とオーナーは語る。ライブハウスというと敷居の高いイメージもあるが、楓林は“誰もが気軽に楽しめる音楽の場”を目指し、地元でも評判の隠れ家的スポットになっている。

ライブはあえて不定期開催。ジャンルもロック、ジャズ、アコースティックなど多彩で、出演者が店の雰囲気に合わせて自由に音を響かせる。常連客が「ここは演者との距離が近くて、音を“浴びる”ように楽しめる」と話すほど、音響へのこだわりも強い。小さな空間だからこそ実現できる、臨場感のあるライブが魅力だ。

そして楓林を語るうえで欠かせないのが、予約制の夜の食事だ。
ライブがない日でもふらりと飲みに立ち寄れるが、食事を楽しみたい場合は予約が必須。これには理由がある。オーナーがその日最高の食材を見極め、ひと組ひと組に合わせた丁寧な料理を提供しているからだ。「作り置きではなく、その人の夜のためだけに仕込みたい」という姿勢が、地元のファンをしっかりと掴んでいる。

特に話題なのが、デザートに使われる生クリームへの強いこだわりである。
「一度食べてもらえば違いが分かると思います」とオーナーが胸を張るほど、素材選びから配合まで徹底的に追求している。甘さは控えめ、舌にすっと溶ける軽さ、余韻に残るミルク感。ライブ後の余韻に寄り添うような、やさしいデザートは「楓林に来たら必ず食べてほしい」と評判だ。

店名のとおり、風が林をすり抜けるような静かな安らぎが、この店には満ちている。音を楽しみに来る人、ゆっくり酒を飲みたい人、誰かと話したい夜を過ごす人。どんな目的でも受け止めてくれる懐の深さが、伊勢の夜に新しい選択肢を与えている。

オーナーは最後にこう語った。
「伊勢には観光で来られる方も多いですが、やっぱり一番来てほしいのは地元の方。日常の中に“ちょっと特別な夜”を作れる店でありたいですね。」

音と食の余韻が静かに重なる夜。
そのひとときのために、今日も楓林は灯りをともしている。

・ 店舗情報詳細