・イチオシメニュー

大阪府箕面市西小路。駅から少し歩いた静かな通りに、昼どきになると湯気と笑顔が立ちのぼる一軒の食堂がある。その名も「ごはんや まつ」。白い暖簾をくぐると、炊きたてごはんの香りと香ばしい焼き魚の匂いがふわりと鼻をくすぐる。カウンターとテーブル数席のこぢんまりとした店内は、どこか家庭的で、まるで実家の食卓に帰ってきたような安心感に包まれる。
・こだわり
「ごはんや まつ」の料理はどれもボリューム満点。味だけでなく、食べ応えにもこだわる“しっかりごはん”が、この店の魅力だ。
おすすめの一品は「チキン南蛮」。揚げたての鶏もも肉に、たっぷりの自家製タルタルソースがとろりとかかる。衣はサクサク、中はジューシー。甘酢の酸味がほどよく効いて、重たくならない味わいに仕上がっている。タルタルには刻み卵と玉ねぎが惜しみなく使われ、どこか懐かしい洋食屋の味を思わせる。定食には小鉢と味噌汁、そして大盛り無料の白ごはんが付く。ふっくら炊き上げたごはんは、どんなおかずとも相性抜群で、つい箸が止まらなくなる。
もう一つの人気メニューが「サバの炭火焼き」。じっくりと炭で焼き上げることで、皮はパリッと、中はふっくらと仕上がる。炭の香ばしさが脂ののったサバの旨味を引き立て、口に入れた瞬間に広がる風味は格別だ。シンプルながらも手間を惜しまない焼き加減に、料理人としての矜持が感じられる一品である。
「ごはんや まつ」の料理には、どれも“きちんとした家庭の味”が息づいている。派手さはなくとも、素材の持ち味を大切にしたやさしい味付け。ひとり暮らしの学生や社会人にはどこか懐かしく、仕事帰りの常連客にはホッとする味。客層は幅広く、昼は定食目当てのサラリーマンや近所の主婦、夜には家族連れの姿も多い。
また、地元密着型の食堂らしく、気取らない雰囲気も魅力だ。厨房からは「いらっしゃい」「おおきに」と明るい声が響き、店主と客との距離が近い。まるで地域の“第二の食卓”のように、人と人とが温かくつながる空間になっている。
支払いは現金のみという点も、この店らしいこだわりのひとつ。「うちは昔ながらの食堂なんで」と笑う店主。その言葉の裏には、機械的な便利さよりも、人とのやりとりを大切にしたいという思いがある。小銭を渡し、おつりを受け取るその瞬間に交わされる「ありがとう」の言葉が、この店の空気をさらにやわらかくしている。
ボリュームたっぷりのごはんと、どこか懐かしい味、そして人のぬくもり――。「ごはんや まつ」は、箕面のまちに根づいた、今日も誰かのお腹と心を満たす食堂だ。
・ 店舗情報詳細
ごはんやまつ
072-735-7893
大阪府箕面市西小路5-4-12
11:00 – 15:00
18:00 – 22:00
月
