味彩

・イチオシメニュー

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京都府乙訓郡大山崎町。名水と竹林に囲まれた静かなこの町に、地元で評判の中華料理店「味彩」がある。店名の通り、彩り豊かな料理と深みある味わいで、多くの人の舌と心をつかんできた人気店だ。和の情緒が漂う落ち着いた外観に足を踏み入れると、ふわりと香るスパイスと炒め油の香ばしい匂いが食欲をそそる。

・こだわり

味彩の料理は、単なる“町の中華”ではない。店主が目指しているのは、日本人の感覚に寄り添いながら、本場中国の味わいを忠実に再現する一皿だ。どの料理にも共通しているのは、素材の持ち味を大切にしつつ、香りと辛み、うまみのバランスを丁寧に計算した構成力。派手さよりも誠実さで勝負する、その真摯な姿勢がリピーターを増やしている。

なかでも、訪れた人の多くが注文する看板メニューが、「四川風麻婆豆腐」。見るからに艶やかで、立ち上る花椒（ホアジャオ）と豆板醤の香りが印象的だ。ひと口食べれば、舌の上で広がる複雑な辛味と深いコクに驚く。辛さはしっかりとありながら、ただ刺激的なだけではない。豆鼓（トウチ）や甜麺醤など複数の調味料を重ねることで、奥行きのある旨みを生み出しているのだ。

「辛さの中に“香り”と“甘み”がなければ、本物の麻婆豆腐とは言えません」と店主。スパイスの配合は日々微調整され、季節によって香りの出方まで見極めて火加減を変えるという。豆腐は京都らしく絹ごしを使用し、なめらかさと繊細な舌触りを残す。仕上げには花椒をひと振りし、香りが立った瞬間に提供。グツグツと煮えたぎる土鍋ごと運ばれてくるその様子に、思わず客席から歓声が上がる。

また、麻婆豆腐の味を支えるのが、自家製の辣油だ。香味野菜とスパイスを低温でじっくりと炒め、辛みの中に芳醇な香りを閉じ込める。油の質にも妥協はなく、口当たりが軽く、胃もたれしにくい仕上がり。まさに“辛いのにまた食べたくなる”味わいだ。

そのほかにも、海老のチリソースや酢豚、炒飯といった定番料理も人気だが、どれも塩分や油分を控えめにし、後味の良さに定評がある。家族連れや年配客が多いのも、そうした「体に優しい中華」を志す姿勢ゆえだろう。

店内は、落ち着いた木目調のインテリアで、カウンター席とテーブル席が並ぶアットホームな雰囲気。常連客が「ただいま」と声をかけて入ってくる光景も珍しくない。料理の香りに包まれながら、肩肘張らずに本格中華を楽しめる空間だ。

・ 店舗情報詳細