鶏番長

・イチオシメニュー

福山駅から歩いてすぐ、延広町の一角に光る赤提灯。扉を開ければ、炭火の香りと活気ある笑い声が迎えてくれる。ここ「鶏番長」は、地元客から出張帰りのビジネスマンまで、幅広い層に愛されてきた人気店だ。その理由を探るべく店を訪れた。

・こだわり

まず驚かされるのは、宴会需要への強さだ。駅前という立地を最大限に活かし、最大50名までの宴会に対応できる広々とした空間を備える。大人数でも一体感を保ったまま、熱々の料理をテンポよく提供できるよう、厨房の動線からテーブル配置まで緻密に計算されているという。「大人数の宴会でも料理の質は絶対に落としたくない」と語る店主の言葉から、妥協なき姿勢が伝わってくる。

看板メニューはもちろん鶏料理。焼鳥は、部位によって切り方や串の打ち方を変え、焼き台の温度管理を徹底する。朝引き鶏の新鮮な旨みを活かすため、塩はミネラルの多い天然塩を使用。タレは開店以来継ぎ足し続ける秘伝のものだ。脂が落ち、炭火に香りが立ち上る瞬間、店の空気は最高潮の食欲を誘う。

さらに唐揚げ、手羽先、親子丼など、鶏を知り尽くした店だからこそ提供できる幅広いメニュー構成にもファンが多い。「ここに来れば鶏料理なら何でも揃う」という安心感が、この店の最大の魅力のひとつだろう。

一方、店主がいま特に考えているのが、日曜日の“禁煙デー”の導入だ。理由は「もっと家族層に来てほしい」。駅前の居酒屋というとどうしても大人向けのイメージが強い。しかし「鶏番長」の料理は子どもや年配の方にも好まれる優しい味わいが多い。だからこそ、日曜だけでも煙のない空間を作ることで、家族で安心して来店できる店にしたいと考えているのだ。

「駅前で、美味しくて、安心して過ごせる居場所をつくりたい」。その思いは、料理だけでなく店づくり全体に息づいている。

鶏料理の旨さはもちろんのこと、来る人すべてに寄り添おうとする温かい姿勢が、この店の本当の魅力なのかもしれない。福山駅前で“旨い鶏”を探すなら、迷うことなく「鶏番長」を訪れてみてほしい。ここには、串一本にも妥協を許さない職人の心と、地域の人々を大切にする店の姿がある。

・ 店舗情報詳細