・イチオシメニュー

大分県臼杵市野津町の商店街に佇む、野口朝日堂。明治15年(西暦 1882年頃)に創業された、地域に根づく老舗の和菓子店だ。
・こだわり
店の看板商品は、全長約40〜41センチにおよぶロングサイズの巻き菓子、うず巻。もちもちとした生地にたっぷりの餡を巻き込んだその姿は、まさに“和のロールケーキ”。一本丸ごと買えば、好きな厚さにカットして分け合えるのが嬉しい。餡には寒天をまぜ、羊羹にも似た滑らかさと落ち着いた甘さを実現。しつこさがなく、老若男女問わず受け入れられる仕上がりだという。このうず巻は地元だけでなく県外からも支持が厚く、贈答用や手土産としての人気も高い。注文や贈答用の箱対応も可能で、年末年始やイベント時期には重宝されている。
「ただの和菓子屋」ではない。和菓子の伝統を守りながらも、新しい感性を取り入れる柔軟さが感じられる。たとえば同店では、和菓子の人気を受けて、ソフトクリームなど洋菓子やスイーツ的なメニューも提供している。例えば「うず巻ソフト」は、冷たいソフトクリームにカットしたうず巻を大胆にトッピング。和洋の融合による意外性と満足感で、地元でも“ちょっと特別なおやつ”として注目されている。
こうした試みは、昔ながらの味を守りつつ、時代に合わせた新しい「食の楽しみ」を提示する――それが野口朝日堂のもうひとつの顔だ。
野口朝日堂の菓子は、注文や来店にあわせて当日つくる“手づくり”。多くの和洋菓子店が大量生産・ストック販売に流れるなかで、同店は「その日に作ったものを、その日に売り切る」という姿勢を貫く。結果として、餡の風味、練りの滑らかさ、生地のしっとり感――どれもが出来立ての状態で味わえる。これは鮮度と職人の手仕事を重んじる店ならではの強みだと感じる。
そのため人気商品は売り切れが早く、特に「うず巻」は予約をして買い求める人も少なくないようだ。長年にわたり受け継がれてきた味と手法、そこに時代の空気を取り込む柔軟な発想――野口朝日堂は、単なる“お菓子屋”を超えて、地域の記憶と人々の生活を優しく包み込む存在だ。
野口朝日堂は、和菓子の伝統と手仕事への尊重、そして時代に合わせた変化をぜんぶ大切にしている。
古くから受け継がれてきた「うず巻」のような銘菓は、手間ひまを惜しまず、素材と技にこだわる職人の心意気で作られている。一方で、ソフトクリームのような洋菓子的アプローチで、もっと気軽に・わくわくしながら楽しめるお菓子も提案する――そのバランスが、この店の魅力だ。
一本まるごとのうず巻を切り分けて友人や家族と分かち合う――そんな時間は、ただの「おやつ」ではなく「記憶」になる。そんな、特別なお菓子屋さんだ。
・ 店舗情報詳細
野口朝日堂
0974-32-2041
大分県臼杵市野津町大字野津市215
09:00 – 19:00
第2日曜・第4月曜

