たこ焼物語

・イチオシメニュー

徳島県北島町。住宅街の一角に、昼夜を問わず人が引き寄せられるように集まる店がある——「たこ焼き物語」。店名の通り、この店には“たこ焼きがもたらす物語・思い出”を大切にしてきた歴史が息づいている。取材で訪れたときに最初に感じたのは、香ばしい生地の香りでも、店先に並ぶメニューでもなく、店を囲むように響く客の笑い声と満足そうな表情だった。

・こだわり

たこ焼き物語の最大のこだわりは、“ふわとろ食感”の追求である。外は薄く香ばしく、中は舌にのせた瞬間とろけるような柔らかさ——その絶妙なバランスを生み出すため、生地は独自に配合した出汁を使用。昆布や鰹の旨味をしっかりと効かせ、濃厚でありながら飽きのこない奥行きのある味を実現している。店主は言う。「たこ焼きはソースの味でごまかしちゃダメ。生地が美味しくなきゃ意味がない。」この言葉からも、芯の強いものづくりの精神が伺える。

主役である“タコ”にも妥協はない。国産の真だこを中心に、鮮度やサイズ、食感を丁寧に吟味し、日によって最も良い状態のものを仕入れる。焼き上がったたこ焼きの中でプリッと弾けるような噛み応えは、この素材選びあってこそだ。口に含んだ瞬間の「タコの存在感」が、たこ焼き物語の魅力をより一層際立たせている。

さらに、一つひとつを手の動きで調整しながら焼き上げる“人の技”も店の味を支える重要な要素。たこ焼きの鉄板のリズムは職人技そのもの。温度を瞬時に読み、焼き加減を微妙に変えながら仕上げていく。「1ミリの差で食感が変わる」と店主は語る。それほどまでに繊細で、そして情熱的な姿勢でたこ焼きと向き合っている。

味付けの幅広さも人気の理由だ。定番のソース・マヨネーズはもちろん、だし醤油、塩、ゆず風味、ピリ辛系など、味のバリエーションが豊富で、何度訪れても新しい発見がある。特にだし醤油は、生地の旨味を引き出し“大人のたこ焼き”としてリピーターが多い。一緒に提供されるトッピングやサイドメニューも充実し、家族・カップル・子ども連れと、幅広い客層から支持を受けるのも納得だ。

“美味しいたこ焼き”だけではなく、“その瞬間の幸せごと提供する店”。
「たこ焼き物語」は、今日も変わらず、訪れる人の思い出に温かく寄り添いながら、ひとつひとつ丁寧に焼き続けている。

・ 店舗情報詳細