卯木屋

イチオシメニュー

・コース料理

静岡県掛川市、緑に囲まれた穏やかな街並みにひっそりと佇む一軒、「卯木屋(うきや)」。落ち着いた木の外観に控えめな暖簾。店の前に立つと、静けさの中に凛とした空気が漂う。扉を開ければ、そこはまるで別世界。檜の香りがふわりと広がるカウンター席に、整然と並ぶ器と包丁。職人の手仕事に集中できる“食の舞台”が広がっている。

・こだわり

卯木屋のこだわりは、まず調味料から手作りであること。出汁、ぽん酢、塩だれ、味噌、醤油だれ――どれも既製品に頼らず、素材から丹念に仕込む。店主いわく「調味料が料理の骨格を決める」。旨味の基礎となる昆布や鰹節、醤油も厳選し、気候や湿度によって配合を微調整するという。だからこそ、どの料理にも自然な深みとやさしさが宿る。派手な味付けではなく、素材そのものの“声”を聴かせるのが卯木屋流だ。

さらに、魚料理への探究心も深い。使用する魚は毎月仕入れを変え、独自の熟成技法で旨味を引き出す。寝かせる時間や温度、湿度は魚の種類ごとに調整し、最も香りと旨味が引き立つタイミングを見極めて提供する。「魚は生きているときより、休ませてからが本当の勝負」と語る。その言葉の通り、熟成によって身に凝縮された旨味は驚くほど深く、ひと口で記憶に残る。

卯木屋の料理がもうひとつ特別なのは、“切り方”と“技法”にまで徹底した美意識があること。食材の断面や厚み、角度ひとつで味わいが変わる。魚、野菜、肉、それぞれの繊維や水分量に合わせて包丁を入れる。料理はすべて繊細で、まるで一枚の絵画のように彩られている。盛りつけにもこだわり、器選びから配置まで計算し尽くされた皿は、食べる前から心を奪われる美しさだ。

「料理は味だけでなく、五感で楽しむもの。香り、音、色、温度、そして空気感――すべてが一体になってはじめて完成する」と店主は語る。だからこそ、コースの流れにも物語性がある。先付から始まり、温物、焼物、揚物、そして締めの食事に至るまで、一品ごとに“間”と“余韻”が設計されている。食べ終わった後に心地よい満足感と静かな余白が残るのも、卯木屋ならではの計算された体験だ。

「技術はまだまだ磨き続けたい。これからも、目で見て、舌で感じて楽しめる料理を作り続けたい」その眼差しはまっすぐで、料理人としての誇りと挑戦の炎が見える。

・ 店舗情報詳細


店名

卯木屋

お問い合わせ

0537-24-7011

住所

静岡県掛川市南西郷830-5

営業時間

11:00-14:00
17:00-22:00 

定休日