The Roll

・イチオシメニュー

栃木県宇都宮市緑にある「The Roll」は、住宅街の一角に佇む小さな店だ。派手な宣伝や装飾は一切なく、昔ながらのお店作りを大切にし、訪れる人が自然と肩の力を抜いて過ごせる空間を目指している。木の温もりを活かした店内は、まるで昭和の喫茶店のような懐かしさが漂い、初めて訪れる人にも安心感を与える。常連客がふらりと立ち寄り、ゆったりと食事を楽しむ姿も日常の一部。人と人との距離感が近く、地域に根差した温かさが息づいている。

・こだわり

料理はすべて手作り。冷凍や既製品に頼らず、店主自らが仕込みから仕上げまでを担う。とりわけ野菜へのこだわりは強く、仕入れは信頼する知り合いの八百屋から。その日に最も新鮮で質の良いものを選び抜き、食材本来の瑞々しさを生かす。地元とのつながりを大事にするその姿勢が、料理全体に安心感と豊かさを添えている。

看板メニューの一つが「ロールキャベツ」。家庭料理として親しまれる一品だが、The Rollのロールキャベツはひと味違う。最大の特徴は、ソースへの徹底したこだわりにある。デミグラスソースと生クリームを合わせることで、濃厚でありながらもまろやか、深みがありながらも優しい味わいを実現している。スプーンを口に運べば、コクのあるデミグラスがじんわり広がり、そこに生クリームの柔らかい甘みが重なっていく。キャベツの優しい食感と肉の旨みを引き立てる絶妙なバランスは、他ではなかなか味わえない。

このロールキャベツは、子どもから大人まで幅広い世代に人気がある。食べやすく、かつ奥深い味わいが、日常の食卓にちょっとした特別感を与えてくれるのだ。家庭的でありながら、丁寧な手仕事と工夫が光る一皿は、The Rollの姿勢そのものを象徴している。

華やかさや流行を追わず、誠実に素材と向き合い、ひと皿ひと皿に心を込める。The Rollは、宇都宮の町にひっそりと息づきながらも、人々の記憶に残る特別な存在だ。ロールキャベツの濃厚でやさしいソースに込められた店主の想いを味わえば、そのことをきっと実感できるだろう。

・ 店舗情報詳細